社会福祉法人における会計監査・監事監査・指導監査とは?

社会福祉法人は、地域の福祉サービスを担う公益的な組織です。そのため、法人の活動が健全で透明性のあることが強く求められています。

その仕組みを担保する制度として「監査」があります。監査にも種類があり、会計監査監事監査指導監査の3つが存在し、それぞれ異なる立場から法人をチェックすることで、法人運営の信頼性を高めています。
この記事では、それぞれの監査の特徴や役割について、わかりやすく解説します。

1.会計監査とは?

会計監査は、外部の公認会計士や監査法人が実施する監査です。社会福祉法人が作成する財務諸表(資金収支計算書・事業活動計算書・貸借対照表など)について、その内容が正しく作成されているかを専門家がチェックします。

会計監査のポイント

  • 目的:財務諸表の信頼性を確保し、法人の健全性を対外的に示す
  • 対象:法人の会計処理、財務諸表全般
  • 実施主体:公認会計士や監査法人

会計監査を行うことで、法人の財務情報が正確であることが外部の第三者によって保証されるため、利用者や行政、地域社会からの信頼を得ることができます。

2.監事監査とは?

監事監査は、法人内部に設置される「監事」が行う監査です。監事は理事会から独立した立場で、法人の業務執行や会計処理を確認します。監査の結果は理事会に報告され、法人内部でのチェック機能として働きます。

監事監査のポイント

  • 目的:理事会の意思決定や業務執行が適正に行われているかをチェックする
  • 対象:業務執行全般と会計処理
  • 実施主体:法人の監事

監事は法人の内部統制(法人のルール)を支える存在であり、理事会が適正に運営されているか確認する重要な役割を担っています。

3.指導監査とは?

指導監査は、所轄庁(都道府県や政令市などの行政機関)が行う監査です。法人が法令や基準に基づいて適切に運営されているかを確認するために実施されます。定期的に実施されるほか、必要に応じて臨時に行われる場合もあります。

指導監査のポイント

  • 目的:法令遵守や適正な運営がなされているかをチェック
  • 対象:法人全般(運営方針、会計、職員体制、事業運営など)
  • 実施主体:所轄庁(行政)

指導監査では、改善が必要な点があれば行政からの指導が行われ、法人は改善計画を策定・実行することが求められます。

3つの監査の違い

種類実施主体対象目的
会計監査公認会計士・監査法人財務諸表財務情報の信頼性を確保
監事監査法人内部の監事業務執行・会計内部統制の強化
指導監査行政(所轄庁)法人全般法令順守と適正運営
それぞれ独立した仕組みですが、相互に補完し合うことで法人の運営全体を健全に保っています。

まとめ

社会福祉法人の監査には、会計監査・監事監査・指導監査の3つがあり、それぞれ異なる視点から法人をチェックしています。

  1. 会計監査は「財務情報の正確性」を保証
  2. 監事監査は「内部統制」を担保
  3. 指導監査は「法令遵守と適正運営」を確認

それぞれの異なる視点からのチェックより、法人の活動内容や財政状態を把握できます。 日々の会計業務では、各書類がどのような目的をもって作成され、そのチェックがどんな視点からなされているのかのつながりを意識することで、法人運営への理解が深まります。