計算書類の種類とその役割とは?

社会福祉法人の会計は、一般企業の会計と似ている部分もありますが、目的が大きく異なります。

一般企業の会計は「株主への利益還元」を目的としますが、社会福祉法人の会計は「公益の福祉のための活動」を目的としています。

そのため、社会福祉法人が作成する計算書類(資金収支計算書・事業活動計算書・貸借対照表)には、独自の役割があります。 当ブログでは、これらの計算書類の種類と役割について、わかりやすく解説します。

計算書類とは?

社会福祉法人は「公益の福祉のために活動すること」を目的としており、法人の健全性や透明性を評価するために、計算書類の作成・開示が義務付けられています。 その計算書類は以下の3つです。

  1. 資金収支計算書
  2. 事業活動計算書
  3. 貸借対照表

計算書類の種類

1.資金収支計算書

資金収支計算書は、法人の「資金の流れ(収入・支出)」を示す書類です。補助金や利用料収入などの収入がどのくらいあり、それが施設整備や人件費などにどう使われたかを明確にします。

項目内容の例ポイント
資金収入補助金、利用者負担金、寄附金どこから資金が入ってきたか
資金支出人件費、設備維持費、備品購入費何に資金を使ったか
資金収支差額収入-支出資金が余ったか、不足したか

2.事業活動計算書

事業活動計算書は、法人の「活動の成果」を示す書類です。 資金収支計算書が資金の流れを示すのに対し、事業活動計算書は発生主義に基づいて作成されます。

発生主義とは、資金の出入りに関わらず、「いつサービスが提供されたか」、「どの時点で費用が発生したか」を記録します。

項目内容の例ポイント
サービス活動収益サービス提供の収益、補助金収益収益の源泉を明確にする
サービス活動費用人件費、運営費、減価償却費活動にかかったコスト
サービス活動増減差額収益-費用活動成果(黒字か赤字か)

3.貸借対照表

貸借対照表は、法人のある時点における「財政状態」を示す書類です。資金や活動成果が積み重なった結果として、資産・負債・純資産のバランスを明確にします。 社会福祉法人では、特に純資産の部が重要で、内部留保や将来の福祉充実計画との関係性が問われます。

項目内容の例ポイント
資産現金、事業未収金、土地、建物どのような財産を持っているか
負債借入金、事業未払金、預り金返済義務のあるものは何か
純資産基本金、次期繰越活動増減差額法人の持分、余裕資金

計算書類の関係性

資金収支計算書・事業活動計算書・貸借対照表は、それぞれ独立しているように見えて、実は密接につながっています。その関係を図式化すると以下のようになります。

資金収支計算書 → 事業活動計算書 → 貸借対照表

(資金の出入り) → (活動の成果) →(蓄積された結果としての財政状態)

このつながりを理解することで、「法人の資金と活動の全体像」が見えてきます。

まとめ

社会福祉法人の計算書類には、以下の3つがあります。

  1. 資金収支計算書:資金の出入りを示す
  2. 事業活動計算書:活動の成果を示す
  3. 貸借対照表:財政状態を示す

これらの計算書類を通じて、法人の活動内容や財政状態を把握できます。 日々の会計業務では、各書類のつながりを意識することで、法人運営への理解が深まります。