はじめに

社会福祉法人では、日々、利用者の方々に寄り添った業務に取り組まれていることと思います。
一方で、年々複雑化する会計基準やガバナンス強化の要請に応えるためには、経理業務に対する高度な専門性と正確性が求められています。 
特に以下のような会計処理の場面では、ミスや判断の誤りが起こりやいものであり、法人全体の信頼を揺るがすリスクにつながりかねません。

社会福祉法人で起こりやすい会計ミスとは?

経理担当者の多くが苦労している点として、以下のようなものが挙げられます。

  1. 賞与引当金や徴収不能引当金の見積り・計上 
    → 年度末のタイミングや支給額の見込みのズレで、正確な負債計上が難しい。 
  1. 減価償却費や国庫補助金等特別積立金取崩額の計算 
    → 補助金との関係性を考慮した処理が必要で、専門知識が求められます。
  1. 発生主義(実現主義)による収益・費用の計上 
    → 実際の入金・支出時期ではなく「発生した時点」での処理が求めらます。 
  1. 退職給付引当金の設定 
    → 将来の退職金支払いに備えて、精度の高い見積りが必要になる。
  1. 資産や有価証券の評価損益の適切な処理 
     → 適正な時価評価や損失計上は、判断を誤ると監査で指摘される可能性あり。 

これらは一例にすぎませんが、「一つのミスが法人のガバナンス評価に直結する」ほど、今の時代の会計処理は厳格となっています。

経理業務は「専門家に任せる」という選択肢

こうした高度な判断や処理に対応するには、日々の業務に追われる内部職員だけでは限界があります。 
そこで注目されているのが、経理アウトソーシングです。 

これは、会計や税務に精通した外部の専門家に経理業務を委託することで、正確性・効率性・信頼性を一気に高められる方法です。 

近年、社会福祉法人でも経理アウトソーシングを導入する例が増えており、「経理の質を守りながら、本業に集中する」という新しい経営スタイルが広まりつつあります。 

アウトソーシングで得られる3つの大きなメリット

1. 正確な処理と法令遵守 

経理アウトソーシングを担うのは、社会福祉法人会計や関連法令に精通した公認会計士・税理士が担当するのが基本です。 
特に上記で挙げたような「引当金処理」「発生主義の適用」「評価損益の計上」など、ミスが起こりやすいポイントでも、確実かつ適切な処理が期待できます。 

2. 業務負担の軽減 

慢性的な人手不足や業務の属人化に悩む法人では、経理アウトソーシングにより担当者の負担を大幅に削減できます。担当者の急な退職や長期の休職といったリスクも軽減し、安定した業務運営が可能に。 

3. 本業への専念 

経理を外部に任せることで、職員は本来注力すべき利用者支援や事業運営に集中できるようになります。経営資源の最適配分が図れるだけでなく、組織全体の士気向上にもつながります。 

まとめ

社会福祉法人の経理は、単に会計ソフトへ入力することではありません。会計基準の正確な理解、会計基準や各種特例等の適用の可否、監査対応…、その全てに高い専門性が求められる時代です。 
経理アウトソーシングは、コスト削減だけではなく、経営の質と信頼性を高めるための戦略的判断です。専門家に任せるという選択肢を検討してみませんか?